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生誕150年 板谷波山 ─ 時空を超えた新たなる陶芸の世界

2022年9月9日(金)~11月6日(日)
月曜休館 ※ただし、9月19日、10月10日は開館

展覧会概要

近現代陶芸の旗振り役の一人として評価される板谷波山(本名・嘉七、1872~1963)の生誕150年を記念して、その生涯と作品を紹介する回顧展を開催します。波山は、彫刻的な文様、釉下彩の技法に加え、当時欧州で流行していたアール・ヌーヴォーの様式をいち早く受容し、新しい意匠表現を生み出しました。一方で中国の古陶磁なども学習し、独自の青磁、白磁の制作にも取り組みました。本展では、波山の作品の変遷を通して、今でも色褪せることのない波山陶芸の魅力を紹介します。

第1章  理想のやきものを求めて

「美術」という概念が生まれてまもない明治時代。東京美術学校(現・東京藝術大学)には、まだ陶磁器の専攻課程がなく、波山は代わりに同じ立体造形の彫刻科に入学します。当時の美術界の指導者・岡倉天心(1863~1913)や彫刻家・高村光雲(1852~1934)に学んだアカデミックな芸術理論や彫像技術は、以後の創作活動に大いに活かされました。明治29年(1896)に石川県工業学校(現・石川県立工業高等学校)に赴任した波山は、7年間を金沢で過ごしたのち、明治36年(1903)11月、陶芸家として独立。東京の田端に工房を設けます。郷里の筑波山にちなみ「波山」と号するのはこの時からです。初期作品からは、理想のやきものを求めて試行錯誤をする波山の姿がうかがえます。

葆光彩磁瑞花鳳凰紋様花瓶 板谷波山

大正12年(1923)頃 高26.5cm 出光美術館

  

第2章  異国と古典へのまなざし

波山は、当時欧州で流行していたアール・ヌーヴォーの様式をいち早く取り入れて作陶を行っています。しかし、彼の作品からは、ただ海外作品を模倣するだけでなく、独自の解釈を経て、新たな美を創出していたことが読み解けます。また昭和時代頃になると、波山はそれまでの色彩豊かな葆光彩磁などに代わって、単色釉を主とする中国陶磁の研究に取り組むようになります。明治時代末期から大正時代初期に結成された「品陶会」や「彩古会」といった研究会などにも参加し、古典のやきものを学び、自身の作陶に活かしました。波山が見つめていた「異国」と「古典」を作品から探ります。

彩磁アマリリス文花瓶 板谷波山

大正時代中期 出光美術館

  

第3章 波山陶芸の完成と挑戦

波山による陶芸の美は、薄肉彫りした器面に多彩色を施す彩磁や葆光彩磁といった技法にひとつの完成を迎えます。とりわけ、釉薬の小さな気泡が乱反射することで、まるで薄い絹布を被せたかのような、やわらかな輝きを生み出す葆光彩磁は、大正時代の波山の代表的な技法のひとつとして数えられます。昭和時代、そして戦後に至っても、波山の創作意欲が衰えることはありませんでした。完成したのちも飽くなき挑戦を続け、単色釉による紫金磁や氷華磁を開発するほか、若かりし頃のアール・ヌーヴォー調のデザインを茶道具に取り込むなど、新天地を開拓しました。

彩磁延壽文花瓶 板谷波山

昭和11年(1936) 出光美術館

  

※3階展示室は閉室しています
※列品解説・講演会などの展覧会イベントは中止します
※会期・開館時間・出品作品等は変更することがあります。最新情報は当館ウェブサイトまたはお電話でご確認ください