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没後100年 富岡鉄斎―最後の文人
2024年7月5日(金)~8月18日(日)
月曜休館 ※7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)は開館
展覧会概要
富岡鉄斎(1836-1924)は、幕末から明治時代の激動する近代を生きた儒者です。日本が急速に西洋化を推し進める時代にありながら、東洋の古き文化に親しみ、万巻の書を読み、万里の路を行った鉄斎は、「最後の文人」ともいわれます。学者としての矜持をもって人生を歩んだ鉄斎は、一方で豪放磊落な筆致と繊細な色彩感覚をあわせ持つ、独自の画境を切り拓いた画家でもありました。没後100年を迎える本年、出光コレクションの鉄斎絵画の名品を通して、その唯一無二の魅力に迫ります。
第1章 若き日の鉄斎
鉄斎は天保7年12月19日、京都に生まれました。石門心学を家学とする富岡家で、鉄斎は幼い時から学問に親しみ、多くの文人や画家たちに師事して研鑽を積んでいきます。ここでは鉄斎が独自の画境を切り拓く過程の、30~40歳代の作品を中心に見ていきます。
※鉄斎の生年月日を厳密に西暦換算すると1837年1月25日になりますが、本展では天保7年の一般的な西暦換算である1836年を、鉄斎の生年として表記します。
第2章 先賢への憧れ
古今の書物に精通し、日本全国を旅した鉄斎は、読書や旅の中で、数多くのいにしえの賢人たちと出逢い、彼らを師と仰ぎました。先賢たちのすがたを描き、その遺愛品を収集することは、鉄斎が憧れる古き良き時代と縁を結ぶための重要な行為だったのです。
第3章 墨痕淋漓――鉄斎の水墨
「余、墨筆紙癖あり」と述べ、文房具を愛した鉄斎は、「墨顚(墨に心奪われるもの)」と自称したように、墨には特に強いこだわりを持っていました。古今の名墨を集め、筆墨の妙を知り尽くした鉄斎ならではの水墨画の名品をご覧いただきます。
第4章 扇面の美
鉄斎というと豪快な大画面絵画を思い浮かべますが、文芸評論家の小林秀雄が「扇面を描くにかけては全く古今独歩の画家」と評したように、扇面画の名手としても知られます。小さな画面を最大限に活用した扇面画の数々は、大作に引けを取らない魅力にあふれます。
第5章 蓬莱仙境に遊ぶ
鉄斎がとりわけ好んだ画題が、神仙の住まう理想郷でした。雑事も多い京都の街中で生活する鉄斎にとって、自由を謳歌する仙人たちが遊ぶ仙境は、なによりも憧れとするところだったのでしょう。鮮烈な色彩と無類の墨調が生み出すユートピアのすがたを紹介します。